Appleの新製品を事前に触ることを許され、多くのレビュー記事を書いている林信行氏と、Apple Watchのフィットネス技術担当Jay Blahnik氏との対談イベントが開催され、お話を聞いてきました。
Apple Watch とはユーザーにとって何か。 AppleWatchは今後どうなるか、何を目指すか。開発者はどのように考えているのか。iOS開発者としてとくに印象に残った所をご紹介します。
Apple Watch を身につけるようになって
林信行氏
AppleWatchを付けてiPhoneをさわったり通知を心配することが減った。
Jay Blahnik氏
パーソナライズ出来るデバイスで、自分の使い方を確立できると
色々なことを確認するのに使っていた時間を
自分のための時間として取り戻すことが出来る。テクノロジーを追加することで
テクノロジーへの依存を減らすことができている
面白いことだと思う。
これは本当に同感です。
またおもちゃが増えて遊びまくるかとおもいきや
日々の中でiPhoneを開いている時間は減りました。
Apple Watchとの連携で消費電力増大を心配していたiPhoneは、
むしろ電池が長く持つようになりました。
Apple におけるApple Watch
Jay Blahnik氏
アメリカのAppleでも、長時間にわたって会議をすることが有る
すると スタンド を勧める通知がみんなのAppleWatchから一斉に発せられて
みんなで伸びをするという文化が出来た。これは良いことだと思う。
Apple Watch は、50分間座りっぱなしだと、
健康のために立ち上がることを勧めてきます。
さまざまな場面でこの通知を受けて、
「あぁ、こんなに長く続けていたんだな、こんなに続けるとからだに悪いんだな」
と気づかせてくれます。
Apple Watch 開発秘話
Jay Blahnik
運動量のリングは3つで構成されている。
一つのリングに一日の運動目安の全てが集約されていると
なかなか達成できずに諦めてしまうかも知れない。3つに分けることで、一つだけでも頑張ろうと思える、そういう動機付けの意味がある。
林信行
AppleはAppleWatch開発のために
シークレットフィットネスセンターを作っていた。
これについて話してもらえないか?
Jay Blahnik
新しい分野にAppleという会社が参入するために2つのことが必要だと思っています
好奇心と、知らないことに対して謙虚になること。
わたしたちはAppleWatch開発に当たり人間の体の動きを知りませんでした。この分野を我々が追求しようと考えた時、
出来合いのアルゴリズムを拝借してくるとか、他社の真似をすることは考えませんでした。
情熱と、学ぼうという気持ちを持って参入したのです。ラボは、Appleのそうした学ぼうという姿勢から作ったものです。
Appleのキャンパスで2年間ほど、秘密のチームを作って活動していました。
看護師、看護婦、エクササイズの専門家の方々が来て、
ボランティアのApple社員を対象に色々なテストをしてきました。それだけの多数のApple社員がボランティアとしてそこに集ったのですが
彼らは、そこに何故いるのか理解していませんでした。あまりにもたくさんの製品を試したので、
それがAppleWatchのためのものだということに
彼らは気づかなかったのです。
さすがApple、異分野でもAppleらしさが生きているなと思います。
Appleを信じて何のためか不明なまま過酷なエクササイズに取り組む社員もすごい。
砂漠や冷凍庫のような環境でも検証したそうです。
Apple Watchが変えるコミュニケーション
林信行
一昔前は、PCで打った長い文章に対して「iPhoneから送信」という署名が
相手のメールよりも短くても良いという免罪符のようになっていました。いまは、短い言葉しか送れないAppleWatchがあらたな免罪符になり得るのではと思います。
それから、メディアに書いたレビュー記事にひどいバッシングがあった時、
手書きのハートマークがAppleWatchに届いた時はグッと来ました。
ライトウェイトだけど感情がこもったものが送れるのではないかと思います。
Jay Blahnik
私は実験段階からAppleWatchを使い続けて、2年間ほどになります。
その間で、こんなに遠く(日本)まで来たのは初めてです。
日本に来て、遠くの家族からハートビートを送ってもらって感動しました。言葉よりも通じ合えるものがあるのではないかと思いました。
ハートビートという機能では、送信側のAppleWatchで計測した心拍数が、
バイブレーションとして「ドクッ ドクッ ドクッ」と相手に届きます。
確かに、遠く離れた家族から届くと、言葉に出来ない感動を覚えそうです。
おまけ:もしもAppleの人に合うチャンスを得たら
最後に、Jay Blahnik氏のサインをAppleWatchのバンドに書いて頂きたいと思って、お願いしてみました。すると、
「これはデザイナーが作った美しいプロダクト。私のサインを書いてしまうことは出来ない」と
とてもかっこよくお断りされました。
「なにか、箱とか、サインを書くのにいいものはない?」と聞かれましたがあいにく持ち合わせず。
ツーショット写真をとっていただきました。
今度から、サインを貰いたいときは製品購入時の外箱を持って行くべし、という知見を得ました